橘玲『臆病者のための株入門』【感想ログ】

今回の本

タイトル:臆病者のための株入門

著者:橘 玲

発売日(書籍):‎ 2006年

「この本読んだら、あの本聴いたら」について

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本書の基本情報

基本情報

タイトル:臆病者のための株入門

著者:橘 玲

発売日(書籍):‎ 2006年

本の概要

本書の内容をamazon.co.jpより引用

ふつうの人でも、あらゆる株必勝法のインチキを見破り、カモられずにお金を増やせる方法がある!株をやらないつもりの人でも思わずやりたくなる、クールで知的な株入門。

橘 玲 『臆病者のための株入門』「BOOK」データベースより

著者略歴

本書の著者をamazon.co.jpより引用

橘/玲

作家。昭和34(1959)年生まれ。早稲田大学卒業。2002年、小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

橘 玲 『臆病者のための株入門』 「BOOK著者紹介情報」より

管理人の読書ログ

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種類 発売管理人インプット
書籍あり
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*2021/9/3時点の情報

Kindleは電子書籍、Audibleとaudiobook.jpはオーディオブックのこと

個人的なメモ

ざっくりとどんな本か(主観)

株初心者向けに「株で損しないための考え方」を説いた本。「おいしい話にはがある」、つまり、リスクとは振れ幅であることなど、投資するにあたって最低限知るべき本質が語られている。

書籍は2006年発売だが、何年後かに読んでも気づきがあると思う。

メモ

株式というのは会社(船)の所有権をバラ売りしたものである。

だがこの権利には大きな特典が付いている。会社が潰れても、船が嵐で難破しても、どのような不測の事態が起きたとしても、株主が出資額以上のお金を弁済する必要がないのだ。

この有限責任の約束があるからみんな安心して株を買える。何しろ損は限られているが、利益は(理屈の上では)無限大というおいしい話なんだ。

第4章より


株は有限責任だからリスク限定的。でも利益を得られるとは限らない。だから、余剰資金で「出資した金がゴミくずになる可能性」も念頭に置くべき。

富を創造するには、他人より先に市場の歪みを見つけるしかない。

事業であれ投資であれ、この原則は同じである。なぜならそれが資本主義なのだから。

第5章より

ファンダメンタル投資家もテクニカル投資家も、「市場の歪みを見つける」という点で共通していることを著者は指摘している。どの投資法を実践するにしても「市場の歪みを見つける」行為を忘れずにいたい。

個別銘柄の選択のような戦術的問題より、資産全体をどのように配分するかの戦略的思考の方が、運用成績に大きな影響を与えることが明らかにされている。

資産運用の成否の8割はアセットアロケーション(資産配分)で決まるのだ。
(中略)
どれほど戦術的正しくても、その前提となる戦略が間違っていれば、最初から勝負に負けているのだ。

第8章より

「個別銘柄」よりも「どの市場にどれだけ資産を配分するか」の考え方は大事。

「どの株を選ぶか」ではなく「どの市場を選ぶ方(株か、債権か、不動産か)」。最近だとビットコインなどの仮想通貨もその選択肢に入るだろう。

「どの市場にどれだけ資産を配分するか」 は、現在と将来の市場という外部環境と、自分自身の内部環境が変数になるはず。

外部環境は経済や社会動向、人々の関心など。 内部環境は、自分が会社員なのか自由業なのかなどの働き方、年齢、家族構成によって変わってくる。年齢を重なるとリスクは大きくとりづらくなる。

「どの株が儲かるか」よりも、もっと大きな視点での個人ごとの方針を決めてから投資したほうがよい。

世界で最も人件費の高い国に暮らす私たちにとって、最大の資産は自分自身である。

第8章より

個人的には「人材」を「人財」と言うのは基本的には嫌いだ(あくまで会社から見れば人材は経費である。財産として計上されないから)。

でも、会社を離れていち個人として考えると、日本の場合は「最大の資産」は自分自身である。会社で働くとしても、世界的に見れば給料は高い方だ(途上国などに比べて)。

市場に投資すると同時に、「自分自身に投資した方がかえってリターンが大きい」ケースもあるだろう。

20代や30代は資産全体に占める人的資本の比率が圧倒的に高いから、人並み以上のお金持ちになろうと思えば、自分自身という資産をいかに活用しそこからどれだけの富を生み出せるかが全てだ。

資産運用は若い時から始めるべきと言われるけど、ボーナスで残った5万円や10万円を何に投資しようか考えてる場合じゃない。

第8章より

これは本当に個人的にかなり刺さった。副業とか言っている場合ではない。だったら転職とかの方がいい場合もある。

もっと大きな視点でファイナンスを考えないと。

感想

個人的な感想です。長い場合があるので、興味がある方は開いてみてください。

書籍は2006年だけが、基本的には2021年も使える考え方だなと。

おそらく5年後、10年後読んでも通じる内容が多いはず。なぜなら本質的な原理が書いてあるから。

全体的には、「投資における身も蓋もない法則」が書かれている印象。

・おいしい話には裏がある
・リスクとは振れ幅。元本保証で利益が得られるなんてありえない(損の可能性もある)
・個別銘柄よりも資産配分が大事など

など。忘れがちだが、大事な内容。何年か1回は読んだ方がいいなと感じる。耳が痛いと感じる箇所も多数。

上手い話には裏がある。これはファイナンスでいう「リスク」とは「利益と損失」の振れ幅の考え方を理解すればよくわかる。このことを本書を読むと納得させられる。

大事なのは、振れ幅が大きいからといって「期待値」が高いとは限らないことだ。宝くじは利益の振れ幅(当たれば1億円とか)が大きいけど、期待値は低い。

よくある情報商材である「これであなたも月収100万円」も同じだろう。振れ幅は大きいけど、期待値は低いケースも多いと聞く。

「利回りが高い」と聞くとそれだけで「ラッキー」と思いがちだが、それだけ「損」をする確率が高いこともあるを忘れてはいけない。

銀行ではなく消費者金融でしか借りれない人も同じで、利率が高いのは、それだけ自分の信用力がないから。貸す側も「貸しても返ってこない確率が高いんだから、利率を上げさせてもらいますわ」ってことと同じ(規制はあるけど)。

利益と損失の「振れ幅」とともに、「期待値」も考慮していきたい。

もちろん、その前提となる戦略には「資産配分」があることも考慮にいれて。

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本書を読みたい人、読んだ人へ

本書を読みたい人、読んだ人向けにメモしておきます。

*オーディオブックで聴く人も対象

予想していた内容との違い

  • どの「個別銘柄」を選ぶべきかという内容は書かれていません。もっと株式投資そのものについて触れられていました。
  • 「臆病者のための株入門」というタイトルですが、「入門書」でありながらも、投資を長く続けている人にも勉強になる内容(復習になるという意味で)でした。
  • 書籍は2006年発売と古いので、今(2021年以降)に当てはまらない内容かと思いましたたが、割と現代にも通じるような内容でした。

読むとき、聴くときに注意したいポイント

  • 著者の書き方は好き嫌いわかれると思います。個人的には、「自分が批判されなような言い回しをしながら、皮肉めいたことを言う」が気になります。著者は「頭が良いだろうな」と思いつつ、このような言い回しを嫌う人は多いと予想します。
  • オーディオブックで聴く人は、カッコ書き(〇〇〇)を読みあげる回数が多いので注意。例えば、「株はやっぱりギャンブル(偶然のゲーム)なのだ」のような感じ。Amazonレビューを見ると、オーディオブックで聴いた人が「カッコを読みあげる回数が多くてウザイ」というコメントがあって笑った。個人的には平気でした。

関連本

管理人が本書と関連すると思う本をとり挙げます

株も含めて、リスクとは振れ幅であることがよく分かる本。

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おわりに

Audible会員の特典「毎月の無料タイトル」で聴きました。

気軽に聴き始めたら意外と(失礼)と良い内容で、3回連続で視聴。書籍版としても欲しいなと思って買いました。

毎日読む本ではないと思いますが、お正月やお盆休みなど、まとまった休みにさらっと復習したいなと感じました。

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