本書の基本情報
基本情報
タイトル:世界のニュースを日本人は何も知らない
著者:谷本真由美
発売日(書籍): 2019
本の概要
本書の内容をamazon.co.jpより引用
報道/常識/教養/思考/日本の評価など、世界各国の印象がガラッと変わる!新聞・TVではわからない世界の真実に迫る。
谷本真由美 『世界のニュースを日本人は何も知らない』「BOOK」データベースより
著者略歴
本書の著者をamazon.co.jpより引用
谷本/真由美
著述家。元国連専門機関職員。1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
谷本真由美 『世界のニュースを日本人は何も知らない』 「BOOK著者紹介情報」より
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個人的なメモ
ざっくりとどんな本か(主観)
元国連職員の谷本氏が、世界のニュースを知らない日本人に警鐘を鳴らす本。多少は著者の思想に寄っているところがあるが、以下のことに気づける本。
- 世界のニュースを見て、日本を相対化して捉える重要性
- 比較を通して物事を考えないことの弊害
メモ
*主張はタイトル通り「世界のニュースを日本人は何も知らない 」
主張はタイトル通りです。こうなる原因は「主にメディア(テレビや新聞など)だ」と著者は語っていますが、その根本には、それらメディアが提供するコンテンツを「日本人が求めているから」とも主張しています。
ではなぜ日本人が世界のニュースを求めていないのか。これを著者は、以下の原因であると述べていると私は捉えました。
- 人口が多くて内需でくえる
- 外国人比率が少ない
- 長い物には巻かれよ精神
特に(3)が原因ではないかと、谷本氏は主張しているように思いました。
*どの組織も同じか!?
国連で働いていた谷本氏は「国連は町内会の寄り合いのようなもの」と述べています。
この点は意外でした。もっとお堅いところかと想像していたからです。もちろん、仕事内容はお堅いはずですが、中で働く人はもっと人間的で、町内会の寄り合いのように
- 意外と他コミュニティからきた人を受け入れるのに時間がかかる
- 嫌な役回りを押し付け合う
などがあるのかもしれません。どの組織でも、人間関係の問題は発生すると考えたほうがいいのかもしれないですね。
*読む価値があると思った章
より読む価値があると思ったのは、(1)終章、(2)第5章、です。
終章のタイトルは「世界の重大ニュースを知る方法」です。具体的にどのように読むかが書いてあります。
「世界のニュースを日本人が読まないのは分かった。じゃあ世界のニュースを知るにはどうすればいいの?」と思う人は、この章だけを読むといいでしょう。もちろん、実践しないと意味がないですが。
次に良かったのが第5章です。特に、幸福度に影響するのは「自己決定権」だという研究結果を紹介していたのがビックリでした。
具体的には、「7万5000ドル(アメリカドル)以上の幸福度はそこまで変わらない」と紹介されている点です。この指摘に以前も聞いたことがあるのですが、再度この指摘を見ると、意外とインパクトがありました。
この本ではありませんが、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)の論文も参考に読んでもおもしろいです。
本研究は2万人の日本人の調査を行い、様々な質問をすることで、所得、学歴、健康、人間関係、自己決定を説明変数とする分析を行った。
西村和雄,八木匡(2018)『幸福感と自己決定―日本における実証研究』要旨より 独立行政法人経済産業研究所
(中略)
幸福感を決定する、健康、人間関係に次ぐ要因としては、所得、学歴よりも自己決定が強い影響を与えている。自分で人生の選択をすることが、選んだ行動の動機付けと満足度を高める、それが幸福感を高めることにつながるのであろう。「人生の選択の自由」が低いとみなされる日本社会で、自己決定度の高い人の幸福度が高いということは注目に値する結果である。
*欧米人から見た日本人の見方
「欧米人から見たアジア人は、意外とよく思っていない人もいるということを認識しておこう」と著者は主張していると感じました。
もちろん、全ての欧米人がそうではないと思いますが、欧米人の中には「日本?どこそれ?」みたいに思っている人もいることを認識した方がいいでしょう。
感想
個人的な感想です。長い場合があるので、興味がある方は開いてみてください。
毎日海外のニュースは見なくてもいいけれど、海外から見た日本や日本人について、定期的にチェックしたほうがいいなと思いました。インターネットで情報は簡単に手に入るわけですし。
最初は各国の新聞のインターネットサイトを見ることもありかもしれないですね。
大学時代に毎日やっていましたが、飽きてしまってやめていました。今回は毎日少しでも読む習慣をつけたいですね。
例えば、毎日読んだ海外のニュースをSNSに投稿してもいいのかもしれないです。
まずは毎日Twitterに読んだニュースとコメントを投稿してみようかなと思います。
たしかに日本人は性善説ではないけど、まず受け身がちです。テレビや政権の言うことを聞きやすいです。
受け身がちなことによるメリットとデメリットは以下かと。
メリット:全体で方向性を合わせやすい(コロナ下での一斉自粛など)。ある意味で素直
デメリット:うまい話に騙される。自分で考えず、誰かの指示待ちになりやすい
一方の海外の国では、とりあえず「批判的に見る傾向」があります。これは歴史や地理的な影響もあるのでしょう。日本は海に囲まれ、他国から攻められにくい環境にありました。
では受け身がちな日本人はどうすればいいのかというと、この本の著者が言うように
- 世界のニュースを見て相対化する
- それらのニュースから批判的に考える癖をつける
ということになると思います。ありきたりなことですが、まずはこのありきたりなことから始めないといけないですね。
筆者は「メディアで放送される海外の国の一部」だけを「全て」と思うのではなく、実態を知れという主張なのかもしれないと感じました。
そのニュースから派生することから調べるするとより良いと思いました。
ファクトフルネスという本にもある通り、いろいろなファクト(事実)に芋づる式に触れるのがよさそうです。
世界のニュースを知らないで生きていけるということは、逆にいえば、日本の国力の高さを示しているのかもしれないです。
まず、日本の治安の良さは世界の中でもダントツでしょう。これはとてもつもなくメリットです。でも、だからこそぬるま湯になって、世界への関心が薄くなるのだと思いますが。
とはいえ、今後も日本の人口減少は進むでしょうし、経済的にも海外へ関心を向けざるを得ないと思います。
お気に入り度
本書を読みたい人、読んだ人へ
本書を読みたい人、読んだ人向けにメモしておきます。
予想していた内容との違い
- 思った以上にバッサリ「日本人のダメさ=世界のニュースの知らなさ」を切ってくるので、不快に思う人はいるかもしれません(痛いからこそ効くのですが…)
- データに基づく主張よりも、「国連で働いていた著者の経験」から言えることを語っている印象です。とはいえ、海外で働いていない人、普段から英語に触れていない人よりは説得力があります
読むときに注意したいポイント
- 「世界のニュースを知る方法」だけを知りたい人は、「終章:世界の重大ニュースを知る方法」から読むと良いと思います。それ以外の章は、基本的に「日本人はいかに世界のニュースを知らないか」「知らないことによる弊害」を様々な角度から述べられています。
- 「耳が痛い」と思う人ほど読んだ方がいいと思います。著者の語り口は「嫌な人は嫌だ」と思うと想像しますが、「語り口は語り口、内容は内容」と、著者と内容は切り分けた上で読むと良いと思います。
- 読んでいる中で「これ、著者が経験しただけで、一般化できないのでは?」と思うようなところは、ご自身で根拠やデータを調べてみると、気づきが多いはずです。
関連本
谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない2』
谷本氏のシリーズの第2弾です。こちらはどちらかというと「日本人にも意外とすごいじゃん」ということも述べられています。
コロナ下における各国の対応や各国の国民の反応についてもふれており、違いに驚かされます。
ハンス・ロスリング (著),他『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』
世界のニュースを見る時に、ファクトフルネスの考え方を知って読むと気づきが多いと思います。また、データによって騙されにくくなるはずです。
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おわりに
読んでいて「耳が痛い」と思えることが多く、「世界のニュースに触れなければ」と再度思わせてくれました。
「へ~日本人は世界のニュース知らないんだ」で終わりではなく、少しでも世界のニュースに触れることが大事ですね。
まずは「英語」でニュースを読まなくても、日本語で海外のニュースサイトを見るのでもいいかもしれません。Google翻訳を使ってもいいですし。
「世界のニュースを日本人は少しは知っている」と、著者にいつか言わせたいですね。
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参考・関連情報
西村和雄,八木匡(2018)『幸福感と自己決定―日本における実証研究』独立行政法人経済産業研究所
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