人生の残りの「時間」について考えたいんだけど、オススメの本ってある?
ネットで「時間」の本を探すと、「時間術」の本や「時間とは何か」をおすすめする記事ばかりで、ウンザリしているんだよね。
このように友人に聞かれたので、この記事では人生を見つめ直す時に役立つ「時間」についての本を紹介します。
たしかに、「時間術」や「効率化」をテーマにした本も多いですよね。でも、「時間と今後の生き方」をじっくり考える時には、長いスパンで考えたくなるのも頷けます。
僕は年間200冊以上(オーディオブック含む)の本を読むので、友人は僕からのオススメ本をヒントにしたいと考えたのでしょう。
今回紹介する本は以下の基準で選びました。
- 筆者が読んだことがある本
- 長期的なスパンで時間について考えられる本
参考になれば幸いです。
人生を見つめ直す「時間」について参考になる本
順不同で紹介します。どれもおすすめです。
ちきりん『自分の時間を考えよう』
「自分の時間を取り戻す」ためのヒントが書かれている本です。本書では「生産性」に焦点が当てられています。
具体的には、以下の2つの視点で展開されています。
・個々人が直面する長多忙な生活からの脱出方法について考える視点
ちきりん『自分の時間、を取り戻そう』
・今の社会で急速に進みつつある変化の本質に焦点を当てた視点
本書の良いところは、具体的な方法や事例が記載されているだけではなく、それらがヒントとなり「自分自身ではどうすべきか」を考えやすくなっている点です。
「生産性」を考える前提には、少なくとも以下のような視点が必要です。
- どんな目的でその時間を過ごしたいのか
- 何に時間を充てたいのか
- どのように過ごしたいのか
- 誰と過ごしたのか
- どれくらいの時間を充てたいのか
- etc
もちろん、自分自身で考えなければ意味がありませんが、本書は上記を考えることも手助けしてくれます。
関連記事 >> ちきりん著「自分の時間を取り戻そう」に書かれていない視点
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
松岡昌宏『時間資本主義の時代』
時間価値と資本主義について、大きな枠組みで捉え直している本です。
時間資本主義とは、貨幣による価値判断ベースではなく、時間価値に対する各人の判断をベースに行われる経済活動のこと(出典:時間資本主義の時代 一部変更)
本書では以下の2種類の時間について言及しています。
- すきま時間:SNSや音声メディアも含めた小間切れの時間
- かたまり時間:仕事や思考する時間まとまった時間
上記の2種類の時間は、それぞれ特性が違います。本書ではその違いについてふれつつ、どのように時間を確保すればよいか、どのように使えばよいかを示してくれています。
人生の時間を「どのように配分するか」を考える前に、「どんな種類の時間があるのか」「時間の価値はどう変化しつつあるのか」を知っておくことは、損ではありません。
時間資本主義の時代に行うべきは、私たちの手に時間を取り戻すことなのだ。スマホを駆使して「すきま時間」を有効利用する。そこで生まれた「かたまり時間」をとことん楽しむ。
こちらの記事でも紹介しました>> 2020年に読んだおすすめ本10選【教養編】
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
ひろさちや『奴隷の時間 自由な時間』
哲学や宗教の観点から時間について解説されています。広い視野で時間と生活、時間とお金について考えたい時にヒントになるでしょう。
とはいえ、全部読まなくもいいかもしれません。時間について記述がある章から読んでみたり、つまみ読みしたり、気になる箇所だけ読む気持ちで良いと思います。
最初に読むと良い章
4章 お金と時間、どっちが大事?
5章 良質な時間・悪質な時間
特におもしろい点は、「お金持ち」よりも「時間持ち」と主張しているにも関わらず、だからといって「経済的な自立を目指そう」と主張しているわけではないことです。
というのも、よくあるビジネス書の主張では「お金よりも時間が大事、だからこそまずは経済的な自立を目指そう。そのためにまずは○○を買おう、××をしよう」とけしかけます。
しかし、そうではなく、「働くのはほどほどにしろ。自分の時間を売るのはほどほどにしろ」と本書では主張されています。
真逆の視点のため、「金持ち父さん貧乏父さん」のような世界観が絶対だ!と思っている方には、ある意味で良い刺激になるはずです。
金を出すことによってわれわれが得ることができるものは
ひろさちや『奴隷の時間 自由な時間』
ーー生活の快適さと利便性ーー
です。ともかく生活に関することなのです。生活に関しては、金があることによって相当よくなります。
けれども、忘れないでください。金によっては、
ーー人生の幸福ーー
は得られません。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
本田健『これからどう生きるのか』
本田健著『これから、どう生きるのか』では、人間関係や仕事、時間など「9つの分野」について考え方のヒントが示されています。
このうちの第6章「時間」についての記述が参考になると思い選定しました。目次から「時間」の章を抜粋すると以下にようになります。
時間
本田健『これから、どう生きるのか』目次より
ー貯められない資産をどう使うか
・あなたは時間を上手に使えていますか?
・時間泥棒を追放する
・効率を目指すと、つまらない人生になる
・感じ方で時間の速さは変わる
・時間が足りなければ、人に貸してもらうのもあり
・自分に残された時間は、あとどれだけ
・若い時の時間、老いてみてからの時間
・時間は命、何に使うかは慎重に
一見すると、どこかで聞いたことがあるようなことが書かれています。でも、まとまって解説されているため、じっくり考える際に役立ちます。
個人的には、以下の内容が忘れがちな視点だと思い、読む度に感心する箇所です。
時間の面白いところは、効率よく使おうと頑張りすぎると、人生がつまらなくってしまうことです。
本田健『これから、どう生きるのか』第6章 時間より
中略
他の人には無駄に思えるような時間が、あなたにとっては至福の時間だったりします。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
本多清六『人生計画の立て方』
本多静六博士の名著も参考になります。本多博士は、東大の教授として林業の分野で社会に貢献する一方で、独自の投資法で莫大な財産を築いた投資家の一面も持っています。
人生訓としても勉強になりますが、それ以上に、時間の使い方を考えさせられる本です。
とはいえ古い本なので、最初から読むと少し長いと感じるかもしれません。そのため、「我等はいかに生くべきか」という章だけ読むだけでも良いでしょう。
我等いかに生くべきか
本多静六『人生計画の立て方』目次より
一、生活安定への道
二、結婚はどうしたらよいか
三、世のため人のために尽くす法
四、老後に考えねばならぬこと
五、楽老期をどう過ごすか
老後のことや年を重ねてからのことの中には、その時点では手遅れなことがあります。
でも、本書を読めば、それでも遅くはなく、その時点からの「計画」を立てることが重要であることが分かります。
もちろん、この「計画」とは、「どのように時間を使うべきか」ということそのものです。
特に、死ぬまでに少しでも世の中に貢献したいと思う人にとっては、本多博士の姿勢は参考になるはずです。
70歳を過ぎても社会に貢献し続けてきた本多博士の言葉には、「説得力」以上に「時間を他者のために使いたいと思わせてくれる不思議な力」があります。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
アーノルド・ベネット『自分の時間』
「知的好奇心を満たすために時間をどう使うか」というコンセプトが合う方にとって、参考になる本です。
本書は、アーノルド・ベネット氏が1908年から1912年までに執筆したものを、渡部昇一氏が訳と解説を行って2016年に発売されました。
*執筆年は推定。訳者の渡部氏は1908年から1912年に書かれたものであることに間違いないと言及
本書は世界中で愛読されていおり、人生のバイブルとする方も多いようです。翻訳者の渡部昇一氏もそのひとりです。
また、渡部氏は本書の特徴を以下のようにまとめています。
「人間というものは、貧乏人でも金持ちでも、とにかく1日24時間しかない」という明々白々なことに目を向け、その24時間でいかに生きるのかとうことに対する具体的なヒントを提供している。
アーノルド・ベネット著、渡部昇一訳 (2020)『自分の時間』『自分の時間』訳者解説より
特に「仕事だけでは満たされない知的好奇心をどう満たすのか」という気持ちが少しでもある方にとってオススメです。
「自分のための時間」を考えるヒントになるはずです。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
番外編:『モモ』とちきりんの『働き方本』
番外編として、2冊を紹介します。
ミヒャエル・エンデ『モモ』
「人生は有限」このことを痛いほど分からせてくれる本です。
『モモ』はミヒャエル・エンデによる児童書ですが、大人が読んでもハッとさせられる言葉が多くあります。
時間とは、生きるということ、そのものだからです。そして人のいのちは心を住みかとしているからです。
ミヒャエル・エンデ『モモ』
主人公である小さな女の子のモモは、生きていく中で何が大切なのかを知っています。時間を盗む男たち(時間どろぼう)との攻防もおもしろく読めます。
と同時に、「あなたにとって時間とは何?大切な時間をどう過ごしたいの?」という命題を突きつける「厳しさ」も兼ね備えている本です。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
ちきりん『未来の働き方を考えよう』
時間ではなく「働き方」を論じた本ですが、時間の使い方も考えさせられるため選びました。
本書では「職業人生は二回ある」と提唱されています。
職業生活をふたつに分け、職業も二回選び、前半と後半で異なる働き方をするのだと、考えるのです。具体的には、働く期間を20代から40代後半までの前期職業人生と、40代後半以降の後期職業人生に分けます。
ちきりん『未来の働き方を考えよう』
今回相談があった友人が40代だったので、まさにこの考え方が参考になるのではと思いました。
実際に職業人生を2回に分けるかどうかは別として、人生の大部分を占める「仕事と働く時間」を考える際には、考える糸口として使えます。
【管理人の評価】
難易度: (1.易しい ⇔ 5.難しい)
本の長さ: (1.短い ⇔ 5.長い)
オススメ度: (1.低い ⇔ 5.高い)
まとめ
この記事では人生を見つめ直すための「時間」に関する本を紹介しました。
「時間」の使い方を考える際に、「時間」単体だけを考えることはあまりありません。時間とお金、時間と仕事、時間と家族、時間と趣味など、それぞれで時間が関係してきます。
ぜひ今回紹介した本とともに、それぞれ考えてみてください。
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