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ちきりん著『自分の時間を取り戻そう』に書かれていない視点

読書感想文・本の紹介

自分の時間を取り戻そう

本棚のこのタイトルに惹かれて、久しぶりにちきりん氏の著書を読んだ。ちきりん氏は有名ブロガーであり、売れっ子作家である。

私は既に3,4回目は読了しているため、今回で読むのは5回目だ。

何回も読んだせいか、この本に書かれていない「ある視点」に気がついた。この記事ではその「ある視点」について共有したい。

この本は、ブロガーのちきりん氏が「時間の使い方や働き方」について書いた本である。

ストーリーと解説が交互にあり、非常に読みやすい。

一気に読めて、とても学びがあって素晴らしい本だ。

しかし、「ある視点」がない。

この記事を読むことで、また違った角度からこの本から学びを得ることができるだろう。

前提となっている概念

この本に書かれていない視点は、この本の前提となっている概念とも言えると思う。

それは、働いて食うという概念だ。これが前提になっている、

ということは、この本には投資家としての視点が描かれていないのである。

例えばこの本に登場するキャラクターの職業の中に、投資家はでてこなかった。登場したキャラクターは次の通りだ。

  • 専業主婦
  • フリーランスSE
  • 中堅サラリーマン(プロジェクトマネージャー)
  • ベンチャーの創業者

この中でベンチャーの創業者は、 唯一投資家の一面をもつ。なぜなら、IPOをすることで大金を得る可能性もあるからである。

しかし、本書ではその話は出てこなかった。

つまり、働いて食うということが前提にあることが分かる。

自分の時間を取り戻す方法

自分の時間を取り戻すには一番手っ取り早いことは、働かないことだ。

なぜなら社会人は働いている時間が一番長いからである。

とはいえ、「自分の時間を取り戻すには働かないこと」という表現では語弊が生まれる。働かないとは、労働者として働かないということであり、全く働かないという意味ではない。

自分の時間を取り戻すには、労働者として働くのではなく、投資家として働くということが必要だ。

労働者として働く

労働者として働くということは、自分の生命時間を売り、その対価としてお金を得るということである。

その対価の多寡はあれど、自分の時間を会社に提供しなければならない。

つまり、自分の時間を売っているので、自分の時間は減ってしまうのだ。

投資家として働く

一方で投資家として働くとは、自分の時間を売るということではない。

全ては、マーケットに依存した成果報酬である。

たしかに、投資家として働くことにも時間は費やされる。

例えば、バランスシートの定期的なチェックから、投資先候補のIRを読む、ニュースチェック、時には関係者との会食もそれに当たるかもしれない。

しかし、労働者として働くよりも圧倒的に短い時間で多くのリターンを得る可能性があるのだ。

この本に投資家としての視点がない理由

このように、労働者ではなく投資家という視点であれば、思った以上に自分の時間を取り戻すことができるかもしれない。

ではなぜ投資家の視点が本書に書かれていないのだろうか。

それは、この本のターゲット、またはちきりん氏とのコアなファンの大半は、労働者であることに関係していると考えられる。

そういった人達に、「投資家として働く」という視点を持とうと言ったとしても、ピンとこないかもしれないからだ。

まとめ

この本には「生産性を高めよう」と主張されているが、生産性と一概に言っても、労働者として働くことだけが全てではない。

だから、この本を読んで感化され、圧倒的に生産性を上げた結果、より会社に自分の時間を捧げる人間になってしまうおそれもある。

このように書くと、働き方についてはちきりん氏の書籍『未来の働き方を考えよう』に書いてあると言われるかもしれない。

だが、本記事で言及している『自分の時間を取り戻そう』には、『未来の働き方を考えよう』を読めとは主張されていなかった。

だからこそ、今回の記事ではあえて

自分の時間を取り戻そう』という本は労働者として働くことが前提になっている

と指摘した。

重要なことは、自分のゴールや何がしたいかを知った上で行動することである。

そのためには、労働者としての視点だけではなく、投資家としての視点で本書を読み直すといいかもしれない。

あとがき

この本を改めて振り返ると、第6章で生産性はこう定義されている。

生産性 = 得られた成果/投入した希少資源 = アウトプット/インプット

この定義に「成果」という概念が書かれていることから、欲しい「成果」は自分で決めろということを、暗に示しているのかもしれない。

もしあなたの「欲しい成果」が、「そもそも労働による時間をなくしたい」ことならば、投資家として働くという視点を持つことも一つの手だろう。

このようなことから、この本は「労働者としての視点」と「投資家としての視点」の両方の視点で読むことで、新しい発見があるといえよう。

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