文章の書き方がテーマの本はたくさんあります。
それは手紙の書き方から、「てにおは」などの文体を教える本まで、多岐に渡ります。
なかには「小説の書き方」や「コピーライティング」など、職業として必要な書き方を教える書籍もあります。
しかし、それらの書き方以前の大前提として、認識しておくべき点があります。
それは、その文章は「情緒」を伝えたいのか、それとも「情報」を伝えたいのか
ということです。
文章の書き方は2種類しかない
情緒、情報と似たような言葉がでてきましたが、どういうことでしょうか。
認知科学者の苫米地英人氏の著書『人を動かす「超」書き方トレーニング』の考え方を参照します。
苫米地氏によると、小説などの文芸作品は*情緒を楽しむものという定義です。
*情緒が分かりづらい人は感情と捉えてください
一方で、それ以外のビジネス文書は情報を伝えるものだといいます。
これらの例を、著者はこう語っています。
小説なのに、なぜか主人公が知識やノウハウばかり説明していても、おもしろくありません。
ビジネスメールやプレゼン資料なのに情緒たっぷりに情景描写されていたり、書き手が人生に悩んでいるさまが書かれていたら、それは大変な場違いです。
苫米地 英人 (2011)『人を動かす[超]書き方トレーニング 劇的な成果が手に入る驚異の作文術』ソフトバンククリエイティブ
つまり、文章は2種類しかないということです。
1つは小説のような文芸作品で、情緒を伝える文章。
もう一つは、それ以外のビジネス文書で、情報を伝える文章。
この2種類を1つの文章に混ぜて書かないということです。
ビジネス文書は情緒ではなく情報が重要
しかし、2種類の文章を書き分けるには、意識しないと難しいでしょう。
特にビジネス文書においては、情報が大事なのに、なぜか情緒が多く入ってしまうことがあります。
例えば、メール文でやたらと長い時候の挨拶や、お決まりの挨拶等は不要でしょう。これらは情緒であり、情報ではないからです。
もちろん、時候の挨拶などは日本の商習慣として必要なのかもしれません。しかし、時間をかけて文章にすることは本来の目的からずれています。
そのため、メールであれば辞書機能を使ってショートカットしたり、テンプレート文章を用意しておくと良いかもしれません。
大事なことは、「情緒」の面ばかり気にするのではなく、「何を伝えるべきか」という「情報」を取捨選択をすることだと思います。
まとめと個人的な振り返り
今回の記事のまとめです。
文章の書き方を学ぶ以前に、文章には2種類しかないことを知りましょうということです。
1種類目は、小説などの文芸作品です。これらは相手に「情緒」を楽しんでもらうための文章です。
一方で、ビジネス文書は相手に「情報」を伝えるものです。
この前提を知ってから、書き方のノウハウを学ぶと良いと思います。そうでなければ、書き手自身が方向性を見失いますし、その文章を読む読者は混乱してしまうでしょう。
逆にこの前提を知っておけば、「書き方のノウハウ」を集めるときに、誤った本や情報商材を買うことはなくなるはずです。
あなたは「情緒」と「情報」のどちらを伝えますか。
おまけ
最後におまけです。今回紹介した書籍のポイントを、箇条書きで列挙しておきます。
気になった方は、実際に本を手にとって確かめてみてください。
苫米地英人著『人を動かす「超」書き方トレーニング』内容メモ
- 読み手の理解を促すために、伝えたい内容は視点を変えて何度も書く
- 一人の人が複数の役割を兼ねて何度も読み直す必要あり
- 文章を書くには、読者よりも優れた圧倒的な知識量が大前提
- 全体像が描けてから文章を書く
- 体験レベルの知識こそが最も高い臨場感を醸成できる
- 大事なことを伝える=相手のスコトーマ(盲点)を外す
- 相手のスコトーマ(盲点)を外す方法は、(1)最初に読者が知っている内容を述べる、(2)次に読者を裏切ることを述べる、(3)最後に両者の一つ上の抽象度のゲシュタルトを作って解決
- 1つのドキュメントにつきコンセプトは1つにする
- トゥールミンロジックで書く
苫米地 英人 (2011)『人を動かす[超]書き方トレーニング 劇的な成果が手に入る驚異の作文術』ソフトバンククリエイティブ
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