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考えるツールに「メモ」は最適-「メモの魔力」前田裕二著を読んで-

読書感想文・本の紹介

前田裕二さんの著書「メモの魔力」を読みました。

この本を読んで感じたことは、

思考を活性化するツールとしてメモは最適

ということです。

著者の前田氏は、メモには2種類あると述べています。

メモの種類
(目的)
メモ内容*効果
記録事実・後で見返すことができる
・脳の記憶に頼らない
知的生産事実と考え・思考の活性化
・概念や行動プランの発見
表1 メモの種類 *効果は本書から読みとった管理人の解釈

このうち、メモは「知的生産」の役割としてかなり有効だと感じました。

この記事では、その理由と具体的なやり方を話したいと思います。

前提:そもそも人は考えない

人は考えているようで考えていません。

だからこそ、メモをして思考することが大事です。

正確に言うと、人は考えてないわけではありません。

脳は働いていても、目の前の仕事や「あれ食べたいな」などの即物的なことを考えやすいといった方がいいかもしれません。

違う側面でみると、時間軸として短期間的に考えやすく、空間軸として自分中心のことに関心がいきやすいのではないでしょうか。

図1 山田ズーニー著「伝わる・揺さぶる!文章を書く」(2001) PHP研究所 を参考に作成

図1は、山田ズーニーさんの著書「伝わる・揺さぶる!文章を書く」を参考に作成した図です。考える軸の例として、時間軸と空間軸をとりあげました。

時間軸としては、短期的に考えるか、または長期的に考えるかの視点があります。

空間軸としては、自分という狭い範囲を考えるか、または、身の回りから世界まで広い範囲を考えるかの違いがあります。

抽象度が低いことを考えていると損

何も考えていないと、「短期的」で「自分中心」なことを考えてしまいがちです。

このことの何が悪いのでしょうか。

まず騙され、損をします。なぜなら、抽象化が高い人に仕掛けられるからです。欲しくないものを欲しいと思わされ、必要ないものを買わされてしまいます。

また、楽しくないでしょう。

人間は他者を喜ばせることに幸せを感じるといいます。しかし、自分中心のことばかり考えていては、幸せを感じづらいでしょう。

このことから、短期間な思考で自己中心的に生きると、損ですし、幸せを感じづらいでしょう。

だから抽象度が低いまま生きるのは損です。

ではどうすればいいでしょうか。

それは、単純に抽象度を高くして生きることです。

そのためには、「思考の活性化(知的生産)」が欠かせません。

自分が考えているかどうかをメモで判定する

思考の活性化は習慣が大事です。そのためにはメモが有効です。

なぜなら、メモは考えているかどうかの良いバロメーターになるからです。

というのも、人は考えたフリや考えたつもりになっていることが多いためです。

メモを思考のメンテナンスツールとして利用する

人は楽をしたい生き物。だから放っておけば深い思考などしません。

なぜなら、考える行為は疲れるからです。

しかし、メモをとることで、自分が何を考えているかを把握することができます。

もっというと、短絡的なことを考えているか、深く思考しているかが、メモを見れば丸わかりだということです。

つまり、メモをとることで、自分の思考の現状を知ることができます。メモを思考のメンテナンスツールとして利用するのです。

頭の中だけ行うのは難しい。だからこそメモを活用する

もちろん、メモをとらずに頭の中でそれができるにこしたことはありません。

ただ、それができるのはしっかり考え続ける訓練をした人です。

例えば、アメリカの博士課程を出ているような人や、敏腕コンサルタントなどはその類かもしれません。毎日膨大な量の情報をいちいちメモをしていては、彼らの研究や仕事は終わらないからです。

もちろん、彼らもメモをすることもあるはずですが、頭の中で思考し続けていることに間違いありません。

その厳しい環境により、頭の中で考えざるを得ない場合が多いため、そこで身につけたのでしょう。

*もともとできる人や努力して身につけた人もいます。

だとしたら、我々凡人はメモを使い、考えていることを目に見える形にすることが有効でしょう。メモという物理的なツールを使って、いかに自分が思考していないかを視覚化するのです。

このようなことから、考えることに慣れていない初心者にとって、メモは思考ツールに最適だと思います。

具体的にどのようメモをとるか

ではどのようにメモをするのでしょうか。その方法を、本書では提示しています。

ファクト→抽象化→転用

という方法です。

へびりだ
へびりだ

より詳細なメモの方法は本書でご確認ください。この記事では、私が重要だと思ったポイントを中心にお伝えします。

ファクト(事実)を書く

ファクト(事実)は、受けた情報をそのまま書きます。

ここでいう受けた情報とは、単に相手が言ったことや本に書いてあることなど、自分が受けとった情報を指します。

その情報の信頼性は別にして、相手が発した客観的な情報をそのままファクトとして捉えます。

このファクトは、メモの種類でいうと「記録」としての役割となります。

メモの種類
(目的)
メモ内容*効果
記録事実・後で見返すことができる
・脳の記憶に頼らない
知的生産事実と考え・思考の活性化
・概念や行動プランの発見
表1 メモの種類 *効果は本書から読みとった管理人の解釈

しかし、メモのもう一つの種類である「知的生産」を目指すなら、メモにファクトを書いただけではあまり意味がありません。

受けた情報をただ単に記録に残すだけなら、AIやロボットであってもできます。

でも、私達は人間です。新しいことを考える能力があります。

ではこの「ファクト」というメモから、どう考えて「知的生産」に繋げていけばいいのでしょうか。

抽象化したこと、転用することを書く

メモで残した「ファクト」を「知的生産」に繋げるために、著者は

抽象化、転用

について考え、メモすることだと述べています。

抽象化したことを書く

抽象化とは

抽象化とは、物事をより一つ上の次元で捉えて新しい概念をつくることです。

抽象化を別の言葉で表現すると、「抽象化を上げる」ということになるでしょう。

抽象度とは、苫米地英人著「苫米地思考ノート術」によると

抽象度とはざっくり言うと、物事の概念のこと

苫米地英人著「苫米地思考ノート術」第2章より

です。

例えば犬のトイプードルで考えましょう。「トイプードル」の上位概念は「犬」です。犬の上位概念は「動物」で、動物の上位概念は「生物」になるでしょう。

図2 苫米地英人著「思考ノート術」第2章を参考に作成

このように、概念を一つ上の次元で考えることが抽象度を上げるということであり、それが「抽象化」ということになります。

分かりづらいかもしれないので、別の表現でも確認しましょう。

本書にも紹介されている細谷功著「具体と抽象」には、次のように表現されています。

抽象化とは一言で表現すれば、「枝葉を切り捨てて幹を見ること」といえます。

文字どおり、「特徴を抽出する」ということです。要はさまざまな特徴や属性を持つ現実の事象の中から、他のものと共通の特徴を抜き出して、ひとまとめにして扱うということです。

細谷功著「具体と抽象」第2章より
抽象化のメリット

この抽象化では、先ほど述べた時間軸と空間軸の観点からみても有効になります。

図1 山田ズーニー著「伝わる・揺さぶる!文章を書く」(2001) PHP研究所 を参考に作成

時間軸としては、短期的ではなく長期的に、つまり、未来に思考を向けることができます。

空間軸としては、自分だけではなく他者、または社会に目を向けることができます。

転用することを書く

転用とは、より自分の具体的な行動に落とし込むことです。

転用では、抽象化した学びやアイデアなどの概念を現実世界に落とし込みます。具体的な行動プランを考えるということです。

前田氏は本書の中で転用の重要性を次のように語っています。

「転用」は本当に大切です。「人生をかけて、この分野で大きな挑戦がしたい」ということがわかったとしても、「じゃあ今この瞬間、それに向けて具体的に何をするの?」ということが決まらないと、何も前に進まないからです。

前田裕二著「メモの魔力」第三章より

この転用を著者は転用と呼びますが、やっていることは具体化です。

つまり、抽象化の反対です。抽象度を下げて、より具体的な行動プランに落とし込むというプロセスになります。

解くべき課題を自分なりに持っていると、具体化しやすいです

「ファクト、抽象化、転用」のフォーマット

著者の前田氏は、この「ファクト⇒抽象化⇒転用」というフォーマット使いこなしています。

そして、ノートにあらかじめこのフォーマットの枠を設けることを推奨しています。いわばフレームワーク化です。

前田氏も本書の中で

人の脳は空欄を見ると「埋めなくてはならない」という強烈な潜在意識を持つので、ある種の強制ベルトのように、フォーマットの継続によってどんどん思考が(特に右脳が)活性化していくと思います。

前田裕二著「メモの魔力」第一章より

と、その意図を説明しています。

フォーマットを活用したメモの方法

図3 ファクト・抽象度・転用のフォーマット (前田裕二著「メモの魔力」を参考に作成)

このフレームワークに沿ったメモの仕方を説明します。

見開きの左ページの上段には、問いと答えを書きます。その下には、本や打ち合わなどの自分が受け取った情報のファクトを書いていきます。

右のページには、ファクトで書いた情報を抽象化した内容と、転用できる行動プランを記します。右ページが自分の頭で考える「知的生産」するための箇所になります。

これらのプロセスを著者は次のようにまとめています。

①インプットした「ファクト」をもとに、
②気付きを応用可能な粒度に「抽象化し」
③自らのアクションに「転用」する。

前田裕二著「メモの魔力」第一章より

フレームワークに沿ってメモをするメリット

ノートの見開きページに何を書くかを最初から設定しておくことで、強制的に考えられるようになります。

このことで、「一気にあげた抽象化した概念を、現実世界という抽象度の低いところまで落とす」ということを行うことになります。

このプロセスの何がいいかというと、次の2点です。

  • 抽象化することで頭が良くなる
  • 具体化することで現実が良くなる

抽象化することで、長期的な視点で考えられるようになり、自分だけではなく、他者や他人に目を向けられるようになります。これはつまり、IQが上がって頭が良くなるということです。

具体化することにより、現実の行動プランに繋げることができます。行動することで現実が良くなるというメリットがあります。

まとめ:メモは思考活性化ツールに最適

箇条書きでまとめます。

・メモは2種類。1つは記録のため、もう1つは知的生産のため
・前提として、人は意識しないと考えない
・だからこそ、メモを使って思考する習慣が大事
・メモには「ファクト⇒抽象化⇒転用」を書く(著者提唱)
・「抽象化」欄にはファクトを抽象化した概念やアイデアを書く
・「転用」欄には具体的なプランを書く

メモは思考活性化ツールに最適です。

ただし、「メモの魔力」は考える人にのみ宿るものだと、私は思います。

ぜひ、メモをしながら思考を活性化していきましょう。

参考文献・関連書籍

最後に、参考文献と関連書籍を紹介します。

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