
必死に資格試験や資格取得をしても、意味がないんじゃない!?
このような疑問を持つ方もいると思います。
実際、「資格を取得しただけでは意味がない」という主張は、よく耳にするものです。
その背景には、次のような考え方があります。
- お金や稼ぐ能力につながらない
- キャリアのマイナスになる
- 時間の無駄になってしまう
たしかに、資格がそのまま収入アップやキャリア形成に直結しない場合もあります。
しかし、本記事の趣旨は「資格が稼ぎに直結するかどうか」を厳密に検証することではありません。
この記事が想定しているのは、次のようなキャリア目的を持つ方ではなく、
- 資格を取得して年収アップしたい
- 資格を取って希望の仕事に就きたい
むしろ、
「毎日がなんとなくつまらないな」
と感じている方へ向けた内容です。
そのような方にお伝えしたいのが、次の考え方になります。
もし、ぼーっと過ごす時間が増えていると感じるなら、「頭を使うリハビリ」として資格試験を活用してみる
あくまで、資格を「頭を動かすきっかけ」として使うという、一つの提案です。
もちろん、合格したからといって必ずしもキャリアアップにつながるわけではありませんし、不合格ならお金や時間が無駄に思えることもあるでしょう。
とはいえ一方で、
普段あまり頭を使わないまま時間が過ぎて、本当に今の状態に満足しているだろうか?
と自分に問いかけたくなることもあるかもしれません。
僕の経験では、思考が活性化しているときのほうが、日々の充実感が増し、楽しさも感じやすくなりました。
その状態を取り戻す、もしくは思い出すための手段としては、次のようなものがあります。
- 仕事にしっかり取り組む
- 趣味に打ち込む
- 読書の量を増やす
- 副業にトライしてみる
こうした取り組みに限らず、「何かに熱中している状態」をつくれれば、それ自体が大きなリハビリになります。
とはいえ、上のどれもが「ちょっと面倒だな」と感じて動き出しづらい人もいるでしょう。そんなときは、あえて強制的に頭を使わざるを得ない環境に身を置くという方法も一つの選択肢になります。
そのための手段として、資格試験を活用するのも十分に「あり」だと感じています。
特に僕のように怠惰な側面があるタイプにとっては、ほどよい緊張感が思考を動かすきっかけになりやすいと感じています。
以上が、本記事でお伝えしたい内容の概要です。
「なぜそう思うのか?」という部分や、「資格試験って本当に意味があるのかな」と疑問を持った方は、このまま本文を読み進めてみてください。

本記事が、あなたの「考えるきっかけ」の一つになればうれしいです。
- 資格試験は意味がない論の紹介
- 考えないことの弊害
- 考えられない原因
- 考えるきっかけとしての資格試験
注意!資格だけではキャリア・収入アップにつながるとは限らない
資格勉強について調べていると、「資格は意味がない」という意見を見かけることがあります。
こうした主張には、いくつか共通する背景があります。
資格が意味ないと言われる主な理由
お金を稼ぐ力につながらないという考え方
資格そのものが収入アップに直結しない、という指摘です。
企業の採用で重視されるのは、資格より「実務で成果を出せる力」であることも多く、資格を持っているだけでは差別化が難しいケースがあります。
資格を取ったからといって、必ずしも収入が上がるとは限らない――そんな現実を踏まえた意見と言えるでしょう。
キャリアのマイナス材料になることもある
資格をたくさん取得している人が、「方向性が定まっていない」と見られる場合もあります。
採用担当者が抱きやすい印象としては、
- やみくもに資格を集めている
- 実務ではなく勉強に逃げている
- 一貫性がない
といったものがあります。
特に、希望職種と関係のない資格ばかり並んでいると、キャリア形成に不利に働く可能性も否定できません。
時間の無駄になってしまうという考え
資格勉強には、それなりの時間が必要です。
その時間を、
- 実務スキルの向上
- 仕事の成果を上げる行動
- 副業・転職準備
- 経験値を増やす取り組みに使った方が合理的だ、という主張もあります。
「資格より現場で学べ」という考え方に近い視点です。
これらの意見は“キャリア目的”で資格を考える人向け
ここまでの主張は、いずれも「資格=キャリアアップの武器」として取得する場合を前提とした議論です。
キャリアや収入の向上を目指すのであれば、資格だけに頼るのではなく、実務や経験の比重が大きくなるのは自然な流れとも言えます。
その意味では、「資格は意味がない」という意見にも、一定の妥当性があると感じます。
しかし本記事は “別の目的” に焦点を当てている
一方で、本記事で扱っているのは、キャリアアップや収入アップを狙う人向けではありません。
むしろ、
- 「最近、ぼーっとして過ごしてしまう」
- 「頭を全然使わなくなっている気がする」
- 「毎日が淡々としてつまらない」
と感じている人に向けた内容です。
ここでの資格試験は、“思考を取り戻すためのリハビリ”として活用するという視点で書いています。
キャリアのためではなく、「頭が働く感覚を取り戻す手段」として資格試験を使う。
その考え方を深めるために、このあと具体的なメリットを詳しく紹介していきます。
考えないことの弊害 — 思っている以上に損をしているかもしれない

資格試験の話から少し離れて、まずは「考えないこと」そのものによるデメリットを整理しておきたいと思います。
資格の有無とは関係なく、“考える習慣が薄れている状態” がどんな影響をもたらすのか を理解することで、本記事の意図がより明確になります。
ここでは、代表的な弊害を5つ取り上げます。
弊害1. 仕事の生産性が上がりにくい
考えない状態で仕事をしていると、業務の質やスピードに伸びしろが生まれにくくなります。
なぜなら、改善しようとする意識も、新しい方法を模索する姿勢も生まれにくいからです。
その結果、次のような行動パターンに陥りがちです。
- 言われたことしかやらない
- 手間や工夫を避ける
- 同じ失敗を繰り返す
苫米地英人氏も『思考停止という病』の中で、こうした“考えない働き方”が個人の成長を阻害しやすいと指摘しています。
・言われたことだけをこなす
苫米地英人(2016)「思考停止という病」KADOKAWA pp.15
・与えられた仕事に対して工夫しない
・手間のかかることや面倒なことを避ける
弊害2. AI・機械に仕事を代替されやすくなる
今の時代、単純作業や機械的処理はAIの得意分野です。考えずにできる仕事ほど、優先的に自動化の対象になっていきます。
もちろん、すべての仕事がAIに奪われるわけではありません。
しかし、
- 自分で判断できない
- 状況を読み取れない
- 新しい視点が生まれない
という状態が続くと、市場価値が下がっていくリスクは高まってしまいます。
弊害3. 誰かに「考えてもらう」前提になってしまう
考えないことは、短期的には楽です。
しかし、その裏側には「誰かの判断に依存して生きる」というリスクがあります。
困ったときも、課題が発生したときも、自分の頭で答えを出せない。
その結果、
- 他人の意見に流されやすくなる
- 自分の基準を持ちにくくなる
- 判断に時間もコストもかかる
という状態に陥りがちです。
人生の重要な場面で立ち尽くしてしまう可能性もあるでしょう。
弊害4. 情報に振り回されやすくなる
考えない状態は、情報をそのまま受け取ってしまう危険性があります。
商品の宣伝でも、投資の話でも、「それが誰にメリットがあるのか」を考えないと、簡単に誤った判断をしてしまいます。
情報の意図を読み取らないまま行動すると、
- 必要のない商品を買う
- 不利な契約にサインする
- 悪意ある人の思惑に乗ってしまう
などのリスクが高まります。
弊害5. 純粋な楽しさを感じにくくなる
考えない状態が続くと、人生の“味わい”が薄れていくことがあります。
パスカルの「人間は考える葦である」という言葉にもあるように、考えることは人間ならではの喜びでもあります。
人間は考える葦(あし)である
パスカル
もちろん、「今はあえて考えないでおこう」と自覚的に決めることも、一つの選択です。
ただし、思考が動かない毎日は、刺激が少なく、感情の幅も狭まり、結果として “何となくつまらない日々” になってしまうこともあります。
山田ズーニー氏も著書の中で、「考えないというのは、実は不自由な状態ではないか」と述べています。
何ごともあまり考えない、考えていないことにさえ気づかない人は、一見オメデタイ人のように思えるのだが、実は深く傷ついている。
「考えない」というのは、自然天然の状態ではなく、実は、不自由なことではないだろうか。
山田ズーニー(2001)「伝わる・揺さぶる! 文章を書く」PHP研究所 pp.12
考えない背景には「習慣」と「目的のあいまいさ」がある
人は本来、誰でも考える力を持っています。
しかし、いざ考えようとしても「なぜか頭が働かない」「すぐに思考が止まってしまう」ことがあります。
ここでは、その原因を整理していきます。
「考えない状態」が続く理由はシンプル
結論から言うと、多くの場合「考える習慣がない」か「考える目的があいまい」なだけです。
能力がないわけではなく、環境と習慣が原因で思考が鈍っているケースがほとんどです。
習慣がないから考えられない
人は変化を嫌う本能を持っている
人間には、生物学的に“現状維持”を選ぼうとする性質があります。これを「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」と呼びます。
良い変化であっても、身体や心は「今のままが楽だ」と判断しやすいのです。
例としてダイエットがあります。頑張って体重を落としても、気を抜くと元の生活リズムに戻り、結局リバウンドしてしまう人は多いでしょう。
それは意思が弱いからではなく、脳が「負荷のある行動(運動・食事制限)」より「今のまま」を自然に選ぶからです。
考えることはエネルギーを使う
脳は、全身のエネルギーの約20%を使う“高コストな臓器”です。
そのため、ぼーっとしたり、いつもと同じ行動を繰り返したりすると「省エネモード」になり、考えない癖が自然と身につきます。
つまり、「考えない」は怠惰というより、“脳のデフォルト設定”の一面でもあるのです。
考える目的があいまいだと、思考は動き出さない
目的がない行動は続かない
人は「なぜ考える必要があるのか」が明確でないと、考えるスイッチが入りません。
- ノルマ
- 締め切り
- 目標
- 目指したい未来
こうした“目的”があるとき、人は自然と考え始めます。
逆に言えば、目的が曖昧だと、頭を働かせる理由が見つからず思考はすぐ止まります。
目的がぼんやりしていると、行動も思考も停滞する
「何のために行動するのか」が分からないと、エネルギーが湧きません。これは仕事でも勉強でも同じです。
- とりあえず毎日が過ぎている
- 特に目指すものがない
- 何に興味があるのか分からない
こうした状態では、考えようとしても脳が“動く理由”を見つけられず、すぐ停止してしまいます。
「変わりたい」のに変われないのは自然な反応
ここまでを見ると、
- 考える習慣がない
- 目的があいまい
という2つの理由があれば、考えられなくて当然だと分かります。これは能力ではなく、仕組みの問題です。
だからこそ、“意識して習慣をつくる”“目的を見つける”というステップが必要になります。
「考えて楽しくなる体感」を取り戻す手段としての資格試験

考える習慣を身につけるうえで、「考えて楽しくなる体感」を取り戻せることは、大きな助けになります。
ここでは、その感覚を思い出すきっかけとして、資格試験を活用する場合のメリットを整理してみます。
資格試験を活用する5つの理由
- 理由1. お金を払うことで適度な強制力が生まれる
- 理由2. 取り組む期間が決まっている
- 理由3. 学習範囲が定まっている
- 理由4. 一緒に頑張る人を見つけやすい
- 理由5. 知識として無駄になりにくい
理由1. お金を払うことで適度な強制力が生まれる
資格試験には受験料や参考書代がかかります。その分、「せっかくお金を払ったのだから取り組んでみよう」という自然な強制力が働きます。
負担が少しあるからこそ、腰を上げやすい場面があるのかもしれません。
理由2. 取り組む期間が決まっている
勉強期間が区切られていることで、「ここだけは集中してみよう」という気持ちが生まれやすくなります。
終わりが見えている取り組みは続けやすく、メリハリにもつながります。
理由3. 学習範囲が定まっている
資格試験は出題範囲が決まっています。「何をすればいいのか」が明確であるほど取り組みやすく、考えるきっかけにもつながります。
まずは決まった範囲に集中することで、少しずつ思考が動き始める人も多いはずです。
理由4. 一緒に頑張る人を見つけやすい
同じ試験を目指す仲間がいると、気持ちが切れにくくなります。
学習アプリやSNSは、同じ目標を持つ人と緩やかにつながれる場として役立つかもしれません。
理由5. 知識として無駄になりにくい
学んだ知識がすぐに役立つとは限りませんが、教養として積み重なり、後の判断や見え方を支えてくれる場面があります。
「頭を働かせる」という目的であれば、得た知識は十分に意味を持つと考えられます。
【具体例】強制的に取り組んだ資格勉強で思考が活性化した
ここからは、僕自身が資格試験に取り組んだときの経験を紹介します。
応用情報技術者試験に挑戦したことで、自分がどれほど普段「考えていなかったか」を知るきっかけになりました。
資格試験前の1週間で追い込んで勉強した
応用情報技術者試験は、専門職向けの難関試験ではありませんが、一定の学習量は必要です。
僕は1週間前からまとめて勉強を始めました。インプットと過去問を繰り返す中で、いつの間にか「知ること」が楽しくなっていく感覚を覚えました。
思考が活性化して良かったと感じたこと
- 仕事がはかどりやすくなった
- 文章を読むスピードが上がった
- 複数のことを並行して考えやすくなった
仕事がはかどりやすくなった
資料作成や問題解決がスムーズになり、普段よりも思考がクリアになった感覚がありました。
文章を読むスピードが上がった
試験勉強で「限られた時間で読む」意識を持ったことで、普段の読書やメール確認が軽くなったように感じました。
複数のことを並行して考えやすくなった
プロジェクトの会議で「納期」という言葉を聞いたとき、関連するリスクや体制、承認の流れまで同時に思い浮かぶことが増えました。
思考の幅が少し広がったように感じます。
【まとめ】資格試験は「考える習慣」を取り戻すための一つの選択肢
資格試験は、キャリアや収入に直結しない場面もあります。
ただ、「考えるきっかけ」として活用するという視点を持つと、別の価値が見えてくるかもしれません。
期限や範囲が決まっていること、仲間が見つかりやすいことなど、自然と思考が動きやすい環境がそろっています。
もし日々の中で「考える時間が減っている」と感じるなら、資格試験を一つのスイッチとして使う、という選択肢も検討してみる価値があります。







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