「借りたら返すな」
何ともキャッチーなタイトルに目を引かれ、この本を手に取りました。
一通り読んでみると、企業の財務のあり方として「なるほど」と、うなづける内容が多くありました。
特に、キャッシュフローを意識し、そのためにも現預金を多く持つことの重要性を再認識させられました。
なぜなら、企業が悪くなるのというのはキャッシュフローが悪くなることに関係し、その原因にはキャッシュ(現預金)が足りないことが大きいと強調されているからです。キャッシュ(現預金)が足りないと、最悪な場合は倒産してしまうことになってしまいます。
そのための対策として、この本では「借りたら返すな」と主張しているわけです。
少し言い過ぎではないかと思いましたが、よくよく本を読んでいくと、「借りたら返すな」とは本のタイトルとしてキャッチーにするために大げさに言ったものであり、具体的には以下の2点を言いたいということが分かりました。
- 借りたらすぐには返すな、ゆっくり返せ
- 借りたら大きく返すな、小さく返せ
これらを行うことで、現預金をなるべく減らさず、自由に使えるフリー・キャッシュフローを多く確保できるできることになります。
このフリー・キャッシュフローが多くある状態であることが、よりより経営につながると著者は主張します。
とはいうものの、「本当にそうなの?」「借金を返さないと利子が増えて大変では?」という疑問も浮かんでくることでしょう。
そこで今回は、本書「借りたら返すな!」を箇条書きベースにまとめたいと思います。
著者の主張とともに、私なりの視点もいれて書いていますので参考にしていただけると幸いです。
企業経営の大前提:まず死なないこと
・企業は現金が払えなくなれば倒産(黒字でも倒産する)
・まずは企業が死なないこと=経営を続けられの財務状態にないといけない
・そのためには、借金の恐れやデメリットよりも現預金による余裕が大事
・借入=返せなくて物が取られる恐れ、金利の恐怖(複利、支払額大きくなる)やデメリット
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現預金による余裕、経営面のプラス
・借金の支払いは痛くても死んだら終わり→借金することよりも現預金がない方が問題
・金は弾、弾がないと戦争で勝てない
cf 苫米地英人氏「銀行に100万預けて5倍の500万借りろ」
→現預金(キャッシュ)はビジネスにおける弾。HP(ヒットポイント)のようなもの
借り入れが怖いというマインドの逆転を
借金怖い、返せないと怖いは真逆
→借りれないことの方が怖い=手元資金が増えない
→大きく返してしまうことの方が怖い=手元資金が減る
晴れの日に借りまくれ
→銀行は雨の日に傘を奪い、晴れの日に傘を貸しにくる(銀行は日傘しかない)
→晴れの日=借りれる時に借りまくれ
→貸す側よりも借りる側が強い
借りれないなら返すな
→リスケしろ→ただし試算表を持って定期的に財務状態を銀行に報告しろ
キャッシュフローを的な思想が根本にある
キャッシュフロー(CF)とは
・キャッシュフローとは
→お金の流れ、特に現金の流れを意味する。中でも、得たお金(収入)から出たお金(支出)を引いた「手元に残ったお金」の流れのことを指す。CFとも略される
フリー・キャッシュフロー(FCF)が大事
・フリー・キャッシュフローとは
→ 営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー
→営業キャッシュフロー(営業活動により獲得したキャッシュフロー)から投資キャッシュフロー(現事業維持のために必要なキャッシュフロー)を差し引く
・自由に使えるフリー・キャッシュフローが重要
3種類のCF
- 営業CF
- 投資CF
- 財務CF
→財務CFが小さいと財務CFが大きく響くし、安心して営業CFも伸ばせない(手形割引きとか、仕入れたくてもCがなくてでにないなど)
→まずは財務CFで大きくプラスにしろ!最初のうちは営業CFも投資CFも期待できないんだから
投資CF
投資キャッシュフローとは、事業の維持・成長のために企業が投資したお金を「現金収支」で計算したものです。
主に、新規の設備投資(有形固定資産の取得)や、M&A(無形
固定資産の取得)を、投資キャッシュフローの項目に記載します。よって、投資キャッシュフローはマイナスになるのが普通です。(新しく投資した分だけ現金が流出するため)
逆に、事業規模の縮小などによって、保有している設備(機械・工場など)や子会社を売却すると、売却代金が手元に入ってくるため、投資キャッシュフローはプラスになります。
典:https://oneinvest.jp/investing-cash-flow/
フリー・キャッシュフローを増やすための調達と運用の工夫が必要
フリーキャッシュフローを増やすための方針は以下の通りです。
調達大きく、返済小さく、支払いサイクル遅く、回収サイクル早く
調達大きく、返済小さく、支払いサイクル遅く、回収サイクル早く
本書に記載されていた、それぞれのフェーズのコツをまとめました。
調達フェーズ
1.銀行との付き合い方が大事
1.1きちんと定期的に報告しろ
1.2 決算書は調達のための武器
1.2.1 純資産大きく
1.2.2 税金を怖がるな
1.3 複数銀行を競わせろ
2.長い期間で借りろ
3.多額で借りろ
4.金利低くして借りろ
返済フェーズ
大きく返しすぎない
支払いサイクル
なるべく遅く
回収サイクル
なるべく早く
その他知っておいた方がいいと思ったこと
その他に知っておいた方がいいと思った本書の内容を下記に挙げます。
- 連帯保証人は場合によっては外せる
- 銀行毎の特徴や付き合い方
- 税務調査がこない方法もある
- 税理士の見極め方など
- 会計は過去、財務は未来
- B/Sの左側は運用、右側は調達
さらに詳しいノウハウや考え方は、実際に本書を読んでみてください。
読む上での注意と簡単なまとめ
読む上での注意=キャッシュフローという言葉が出てこない
本書ではキャッシュフローという言葉が出てきません。キャッシュフローとはお金の流れを指します。この言葉かないために、少し分かりづらい印象を受けました。
- 現預金の大事さ強調するために、あえてそうしたのか
- 本の想定読者を中小企業の社長と設定し、あえてカタカタの”キャッシュフロー”を使っていないのか
いずれにせよ、キャッシュフローという言葉は本書に出てきませんので注意してください。内容は良いだけに、その点がが分かりづらくて玉に傷です。
参考文献
苫米地 英人 (2015)『Dr.苫米地式資産運用法なら誰もが絶対にrichになれる!』ヒカルランド
中西 宏一 (2018)『粗利「だけ」見ろ 儲かる会社が決して曲げないシンプルなルール』 幻冬舎
山口 揚平 (2008)『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』日本実業出版社
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