記事内のリンクには広告が含まれています。

2020年に読んだおすすめ本10選【ビジネス・仕事編】

読書感想文・本の紹介

この記事では2020年に読んで良かった本を紹介します。今回はビジネス・仕事関連です。

【筆者のプロフィール】
・30代会社員(システムエンジニア)
・年間200冊以上を読む(オーディオブック含む、小説・漫画含まず)

へびりだ
へびりだ

適当に選んでいるわけではありませんよ~!

200冊以上読んだ本のなかから、おすすめの10冊を選びました。

*なお、発売年が2020年以外の本も含みます。

おすすめの10冊(ビジネス・仕事編)

【すぐに仕事に使える3冊】
・業務改善の問題地図(沢渡あまね、元山文菜)
・読みたいことを、書けばいい。(田中泰延)
・問いのデザイン(安斎勇樹、塩瀬隆之)
【未来を考える3冊】
・シン・ニホン(安宅和人)
・10年後に食える仕事 食えない仕事(渡邊正裕)
・世界観をつくる「感性×知性」の仕事術(山口周、水野学)
【失敗から学ぶ2冊】
・世界「倒産」図鑑(荒木博之)
・みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史(日経コンピュータ他)
【インプットを活かすための2冊】
・独学大全(読書猿)
・メモの魔力(前田裕二)

ジャンル別で読んでもいいですし、気になった本があれば読んでみてください。

すぐに仕事に使える3冊

すぐに仕事に活かせるような本を3冊選びました。

・業務改善の問題地図(沢渡あまね、元山文菜)
・読みたいことを、書けばいい。(田中泰延)
・問いのデザイン(安斎勇樹、塩瀬隆之)

ここでいう「すぐに」は、「すぐに」意識して実践できることを指します。

でも、「すぐに」効果がでるかは個人差によります。

ただ、この3冊に書かれていることを実践できている人は多くないと思います。だからこそ、他者や他社と差別化が図れるのではと考え、この3冊にしました。

業務改善の問題地図(沢渡あまね、元山文菜)

沢渡あまね氏は問題地図シリーズの本を多く執筆しています。このシリーズはどの本も良書なので選びました。

今回の本は「改善」にフォーカスしている本です。組織で働く社会人なら、多くの人が「あるある」と思ってしまう「改善」の壁と、その対処法が載っています。

例えば、業務改善が起こらない/定着しない組織のアンチパターントップ4です。

  1. 中間管理職が邪魔をする
  2. 言ったもの負け
  3. どうしていいかわからない
  4. 勇者頼み
    出典:沢渡 あまね,元山 文菜 (2020)『改善業務の問題地図』

僕の会社でも当てはまる人や状況があるなと思いながら読み進めてしまいました。

テクニックよりも、組織やプロジェクトの体制づくりと状況別の対処法など、人間関係に依存する部分も多く言及がありました。この点が1番ありがたいなと感じました。

【本書をおすすめしたい人】

・業務改善で効率をあげたい人
・改善したいのに周りの協力が得られない人
・入門的な内容を知りたい人

【本書をおすすめしない人】

・具体的な事例を多く知りたい人
・改善ではなく改革をしたい人
・専門的な内容を求めている人

読みたいことを、書けばいい。(田中泰延)

「好きなことを自由に書けばいい。」このようなことが書いてあると思っていたのに裏切られた。そんな気持ちです。もちろん、良い意味で裏切られました。

著者の田中氏は「自分が読みたいことを書けばいい」と主張する一方で、「誰かが他で書いてあることは書く必要はない」と切り捨てます。なぜなら、他で書いてある文章を読めばいいからです。

だから田中氏は「事実や事象を徹底的に調べろ」と強く主張しています。

物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛

と断言しているほどです。でも、それがなかなかできない。だからこそ、徹底的に調べる中での発見や、感動にこそ価値があります。

へびりだ
へびりだ

やっぱり書くことって甘くないんだ!でも事実を調べるという地味な作業を積み重ねることが、遠回りにみえて一番近道なんだ!

と思わせてくれます。

「読みたいことを書けば全てが報われる。」そんな甘い考えで本書を読むと痛い目に合います。

でも、「誰かに何かを伝えたい」「相手の心を動かしたい、行動してもらいたい」という思いがある方は読んで損はないです。良い意味で裏切られますよ。

【本書をおすすめしたい人】

・文章の種類や本質を知りたい人
・ブログやSNSで情報発信をしている人
・文章を含んだコンテンツをビジネスにしている人

【本書をおすすめしない人】

・稼ぐことに特化した文章を書きたい人
・文章の型やテクニックを知りたい人

問いのデザイン(安斎勇樹、塩瀬隆之)

課題設定に役立つ本です。会議やワークショップに特に使えます。

内容について、著者の安斎氏のnoteから抜粋します。

企業の商品開発・組織変革・人材育成、学校教育、地域活性化などの複雑な課題解決において、問題の本質を見抜き、正しい課題を設定するための思考とスキル。そして関係者を巻き込み課題を解決するためのワークショップデザインとファシリテーションのエッセンスについて「問いのデザイン」をキーワードに300ページかけて解説しています。

安斎勇樹新刊『問いのデザイン:創造的対話のファシリテーション』好評発売中!』note

WEB会議(オンライン会議)が増えている昨今だからこそ、会議における生産性を高めることが必要になっています。

本書はWEB会議について特段の言及はありません。しかし、「会議やワークショップという場」の設計や進行方法について、本質から学びたい方にはヒントになると思います。

*ただし学術書に近いので、読み終わるまでに時間がかかります。必要だと思える箇所から読むことをオススメします。

ご参考:著者の安斎氏のnoteはよりラフな内容になっています。単純におもしろいです。

【本書をおすすめしたい人】

・会議やワークショップの質を上げたい人
・問題や課題設定について知りたい人
・本質を見抜きたい人

【本書をおすすめしない人】

・学術書よりな本が嫌いな人
・問題設定をする方法ではなく解決方法を知りたい人

未来を考える3冊

今後の社会、仕事を考える上で参考になる本を3冊選びました。

・シン・ニホン(安宅和人)
・10年後に食える仕事 食えない仕事(渡邊正裕)
・世界観をつくる「感性×知性」の仕事術(山口周、水野学)

シン・ニホン(安宅和人)

ヤフー株式会社のCSO(チーフストラテジーオフィサー)の安宅和人氏の書籍です。安宅氏といえば「イシューからはじめよ」という本で有名です。

AIやデータ分析手法などテクノロジーが進化する中で、今後の社会や人材、必要なスキルなどについて語られています。

個人的として参考になったのが、現代のリベラルアーツとして提示されている以下の4つスキルです。

【現代のリベラルアーツ

・母国語(日本語)
・世界語(英語/中国語)
・問題解決能力
・データ×AIリテラシー


出典:安宅 和人 (2020)『シン・ニホン
参考:安宅和人データ時代に向けたビジネス課題とアカデミアに向けた期待』応用統計学セミナー 2015/5/23

特に「問題解決能力」や「データ×AIリテラシー」は、意識して高める努力をしないと、いつまで経っても身につかないと感じました。

もちろん、時間のない社会人は上記4つのスキルを高めることは難しいでしょう。自分1人が4つのスキルを完璧にする必要があるかというと、決してそうではないはずです。

ただ、チームや組織として考えたときに、どんなスキルや能力(または人材)が足りないかを知ることも重要でしょう。それを知るためにも、本書の内容を頭にいれることは損ではないと思います。

【本書をおすすめしたい人】

・中長期的な将来予測を知りたい人
・データやAIに興味がある人
・著者の安宅和人氏の思考に触れたい人

【本書をおすすめしない人】

・即効的な解決方法を求めている人
・長文が苦手な人
・考えることが嫌いな人

10年後に食える仕事 食えない仕事(渡邊正裕)

独自の取材やデータをもとに、10年後の社会や働き方、職業についてまとめられている本です。

著者の渡邊氏は、仕事の未来として5つに分類して説明します。

・ロボティクス失業――機械やITに置き換わり、失業リスクが高い

・手先ジョブ――人間の手先が必要不可欠で、永遠に残り続ける

・職人プレミアム――テクノロジーとは無縁で、雇用は安定

・AI・ブロックチェーン失業――中核業務は無人化・自動化が不可避

・デジタル・ケンタウロス――AIを乗りこなし、人間の強みを発揮

この分類にはAIとグローバル化が大きく関わってきます。

AIやグローバル化の観点で未来予測をしている本は数多くあります。そのなかでも本書は、職業や働き方に絞って書かれているため、自分の未来を想像しやすいです。

*補足:実は2012年に、同タイトル「10年後に食える仕事、食えない仕事」が発売されています。当時はグローバル化がメインの視点でした。

しかし、今回の「10年後に食える仕事 食えない仕事: AI、ロボット化で変わる職のカタチ」では、AIやロボット化というテクノロジーの視点が入って大幅にリニューアルされています。全く別の本に近いかもしれません。

前回(2012年)の「10年後に食える仕事、食えない仕事」を読んだ時、僕は大学生でした。働きたい業界や職業について考える際の土台にしたことを覚えています。

現在は2020年です。2012年の発売時予測と比べると、当たっているところとそうではないところがあります。ただ、自分なりに対策を立てて行動するためにヒントとして役立ちました。

2020年の本書も、10年後を見据える際に参考になるはずです。

【本書をおすすめしたい人】

・今後何で稼いでいいか分からずに不安な人
・10年後の働き方、職業の予測を知りたい人
・AIやグローバル化の影響を知りたい人

【本書をおすすめしない人】

・今後10年間の仕事や働き方に興味がない人
・AIやロボット化、グローバル化はどうでもいいと思う人
・現実を直視して悲観したくない人

世界観をつくる「感性×知性」の仕事術(山口周、水野学)

「世界観の作り方」よりも、「なぜ世界観が必要か」「今後は市場で何が求めらているか」を学べる本です。

本書は、コンサルタントの山口周氏と、デザイナーの水野学氏が対談したものを書籍化したものです。

何が求められているかというと、「機能的価値にプラスアルファした情緒的価値」です。機能的な価値とは「役に立つ価値」、情緒的価値は「意味がある価値」と言い換えられます。

山口 日本企業はずっと「役に立つという価値」で戦ってきたけれど、「役に立つという価値」は過剰になってしまい、「意味があるという価値」が希少になった。

つまり、「意味がある」こそ価値がある時代に変わったのです。

山口 周, 水野 学 (2020)『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』朝日新聞出版

ここでいう「意味がある」とは、例えば商品のストーリーやその会社のビジョンの共有です。つまり、意味をつくるために「世界観が必要」ということです。

ただし、その「世界観のつくり方」については身も蓋もないことが書かれています。「世界観がつくられた事例」はいくつか記載されていますが、「こうすれば世界観はつくれる」とは書かれていないからです。

山口 映画をどれくらい観ているか、どれだけ街を歩いているか、本をどれだけ読んで、どれだけアートに触れているか。それで知識の引き出しが増えていく。

山口 周, 水野 学 (2020)『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』朝日新聞出版

水野 どのくらいのインプットでどのぐらいの質と量のアウトプットが出せるかの確証はありません。

でも、たくさんのデザイナー、クリエイターを見てきて、豊富な知識と幅広い経験がある人ほどいいアイデアを生むことができるという確信はもっています。

山口 周, 水野 学 (2020)『世界観をつくる 「感性×知性」の仕事術』朝日新聞出版

このように、世界観をつくるはある程度の「知識」も必要だと述べられています。

でも、これは山口氏と水野氏の愛情だと思います。世界観なんてそんな簡単につくれない。このようなことも間接的に伝えているように思えるからです。

「役に立つ価値」にプラスした「意味がある価値」の重要性に気付ける一冊です。

【本書をおすすめしたい人】

・世界観や感性について興味がある人
・企画づくりやプロデュースの仕事に携わる人
・今後の製品やサービスのニーズを知りたい人

【本書をおすすめしない人】

・答えを求めている人
・感性だけで何とかなると思っている人

失敗から学ぶ2冊

失敗から学べる本を2冊選びました。

・世界「倒産」図鑑(荒木博之)
・みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史(日経コンピュータ他)

世界「倒産」図鑑(荒木博之)

倒産した企業に焦点を当てる稀有な本です。倒産の言葉だけでは悪いイメージを持つ方もいるでしょう。でも、その企業の全てがダメだったわけではありません。

この本では、「なぜ倒産してしまったのか」という理由だけではなく、「そこから何が学べるのか」まで記されています。

25社が紹介されていますが、それぞれドラマになるくらいのストーリーがあります。

へびりだ
へびりだ

個人的には山一証券が印象的です。直接見たわけではありませんが、倒産時の社長が会見で「社員は悪くありませんから!」と号泣したと聞いたことがあるからです。

この本で、なぜ倒産してしまったのかが理解できました。

【本書をおすすめしたい人】

・失敗事例を学びたい人
・会社分析(投資など)に活かしたい人
・会社がどうやって倒産するかに興味がある人

【本書をおすすめしない人】

・失敗から何かを学びたいくない人
・経営やビジネスに興味がない人

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史(日経コンピュータ他)

「根本原因を見逃したままだと、いつか失敗を繰り返ししてしまう」

このことが痛いほど分かる本です。僕の本業はSE(システムエンジニア)なので、余計にしみました。

本書は、みずほ銀行の「勘定系システム」の統合プロジェクトについて書かれた本です。プロジェクトチームは、2度の大規模障害を乗り越えてシステム統合にたどり着きました。

正直、この本は専門書に近いです。IT用語も多くでてきます。IT企業関係者か、企業のIT部門(情報システム部門)関係者でないと、理解できないと思います。

ただ、ITについてよく分からない方が本書を読んだ場合でも、根本原因を放置する怖さを実感できるでしょう。

でも、1番読んで欲しい人は、

現在(または将来)会社の幹部(役員)として仕事をしている方

です。

「ITは現場に任せればいい、自分はITが分からないから関わらない」という姿勢ではいかにまずいかが分かると思います。

【本書をおすすめしたい人】

・IT企業関係者、企業のIT部門に勤めている人
・大規模プロジェクトの失敗と立て直し事例を知りたい人
・現在(または将来)会社の幹部(役員)として仕事をしている方

【本書をおすすめしない人】

・会社や組織で起こる失敗のメカニズムに興味がない人
・硬い文章や長文が苦手な人
・ITシステムやITツールと一切関係ない仕事・ビジネスをしている人

インプットを活かすための2冊

仕事やビジネスに活かすための学習についての本を2冊選びました。

・独学大全(読書猿)
・メモの魔力(前田裕二)

独学大全は2020年に買って良かった本のランキングをつけるなら、No.1です。

独学大全(読書猿)

デカい、重い、分厚い。これが本書から受ける最初の印象でしょう(書籍の場合)。

・デカい:全788ページ(索引含む)
・重い:約1kg
・分厚い:約5cm (参考『独学大全』をいろんなものと比較した皆さん

それもそのはず。何かを調べる、学ぶ、勉強する方法が網羅されているからです。

・なぜ学ぶべきか(第一部)
・何を学ぶべきか(第二部)
・どのように学ぶべきか(第三部)

が詳しく載っています。

書籍版は3,000円近くの値段ですが、薄い内容の本を2,3冊買うよりも価値があると思います。辞書のように死ぬまで使えるはずなので、1年あたりで考えたらコスパが最強です。

具体的な読み進め方は、以下のnoteに書いています。

【本書をおすすめしたい人】

・仕事やビジネスで未知な知識を得たい人
・独学で何かを学びたい人
・網羅的に勉強法やインプット方法を知りたい人

【本書をおすすめしない人】

・何かを一人で学ぶつもりがない人
・即効性のある勉強法やインプット方法が知りたい人
・分厚い本が苦手な人

メモの魔力(前田裕二)

この本の価値は、ただの記録としてのメモではなく、知的生産ツールとしてのメモを推奨していることです。

著者の前田氏は、メモには2種類あると述べています。

メモの種類
(目的)
メモ内容*効果
記録事実・後で見返すことができる
・脳の記憶に頼らない
知的生産事実と考え・思考の活性化
・概念や行動プランの発見
メモの種類 *効果は本書から読みとった管理人の解釈

このうち、「知的生産」の役割として、以下のフォーマットを提示しています。

ファクト(事実)→②抽象化→③転用(具体化)

①インプットした「ファクト」をもとに、
②気付きを応用可能な粒度に「抽象化し」
③自らのアクションに「転用」する。

前田裕二著「メモの魔力」第一章より

フォーマットがあることで、何をどのようにメモをしていけばよいか分かります。これが仕事においても非常に役立ちました。

「抽象化」や「転用(具体化)」がよく分からない方は、先に「具体と抽象」という本を読むことをお勧めします。分かりやすいです。

具体的なメモの仕方については以下の記事で説明しています。

関連記事>> 考えるツールに「メモ」は最適-「メモの魔力」前田裕二著を読んで-

ただし!この「魔力」という言葉には注意です。「魔力」というと、メモで全てがうまくいくように聞こえますがそうではありません。

上記の「①ファクト→②抽象化→③転用」というメモを地味に繰り返し、行動して初めて役立ちます。

『メモの「魔力」』という煽り気味のタイトルは、本を売るための宣伝文句と割り切ってください。

また、仕事ができる人は「①ファクト→②抽象化→③転用」という方法でのメモや考え方を「頭の中」でやっています。そういう方には必要ない本だと思います。

*2020年12月30日現在はkindle unilitedで読めるので、そこで試しに読んで買うか決めると良いと思います。

*筆者や会社のアピールが多い印象の本です。自身のブランディングや会社のアピールを兼ねているからだと推測します。この点が嫌な人は読まない方がいいです。

【本書をおすすめしたい人】

・メモを仕事に活かしたい人
・著者の前田氏が好きな人

【本書をおすすめしない人】

・この本のメモの方法を知れば全てが上手くいくと思っている人
・「①ファクト→②抽象化→③転用」という考え方が既に身についている人
・著者を嫌いな人

【まとめ】2020年に読んだおすすめ本10選【ビジネス・仕事編】

この記事では、僕が2020年に読んだ方の中から、ビジネスや仕事に役立ちそうな本をご紹介しました。

本当は会計や投資、ブログ運営関係の本も選出したかったのですが、より多くの人に役立つような本を選びました。

少しでも参考になれば幸いです。

次回は「2020年に読んだおすすめ本10選【教養編】」です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました